脳出血

 
やまねこ
出血は、主に出血部位によって分類されるニャ

【脳出血】

脳出血とは、「脳卒中」の症状の一つです。脳の血管が破れて出血し、その先に酸素や栄養がなくなることで、組織が壊死、または壊死に近い状態になってしまう病気です。多くの場合は激しい頭痛や半身の麻痺などを伴います。

【一次性脳出血(特発性〈高血圧性〉脳梗塞と二次性脳出血(症候性脳出血)】

脳出血は、一次性と二次性に分類されます。脳出血の80%は一次性になります。

一次性脳出血(特発性〈高血圧性〉脳梗塞)高血圧や脳アミロイド血管症(主に加齢に伴う脳動脈の脆弱化)によって痛んだ脳血管が破れて発症します。

二次性脳出血(症候性脳出血)血管病変(脳血管奇形、脳動脈、血管炎)、腫瘍、血管凝固異常などが原因となり、脳血管が破れて発症します。

【出血した部位による分類】

被殻(ひかく)出血最も多い部位で、脳出血の約半数を占めていると言われています。出血が被殻だけであれば症状は軽いのですが、基底核部にまで及ぶと片麻痺や顔面神経麻痺などの感覚障害がみられるようになります。死亡率はそれほど高くありませんが、意識状態や出血量によって手術を検討していきます。

視床(ししょう)出血視殻に次いで多く、約3割にみられます。視床と呼ばれる部位の血管が破れて起こります。視床は、視覚や聴覚などで得た情報を集めて、感覚中枢に送り届ける役割を担っています。この部分で出血が起こった場合は、頭痛、片麻痺、顔面神経麻痺などに加えて意識障害も見られるようになります。命が助かった場合でも後遺症が残ってしまうことがほとんどです。また合併症として急性水頭症が起こることがあるので、手術が行われます。

皮質下(ひしつか)出血脳出血の約1割にみられます。大脳皮質の下、「頭頂葉」「前頭葉」「側頭葉」など様々な部位で起こります。症状としては、頭痛や片麻痺などの感覚障害や半盲などがありますが、他の脳出血に比べて、比較的症状は軽く、予後も良好なケースが多いとされています。

小脳出血脳出血の約1割にみられます。脳幹(大脳と脊髄をつなぐ器官)の背後に位置している小脳で出血が起こると、頭痛や嘔吐などが症状として現れます。また小脳が運動機能を司っているため、運動失調が起こることもあります。

橋(きょう)出血(脳幹出血)脳出血の約1割に見られます。橋は脳幹の一部となります。脳幹は滞納と脊髄を繋ぎ、脳が処理した情報を脊髄に伝えて実施の行動に繋げています。ここで出血が起こると、頭痛や片麻痺、意識障害などが症状として現れるだけでなく、外転神経麻痺が見られることもあります。

【治療】

《脳出血の急性期治療(およそ1~2週間)》

脳内の出血が通常数分で止まりますが、血圧が高いと再出血を来たすこともあります。そのため高血圧を厳重に管理して再出血を防ぎます。嚢腫出血による圧迫のための脳機能障害が著しい場合には開頭血種除去術、脳脊髄液循環障害による水頭症に対しては脳室ドレナージ術などの外科的治療が必要になる場合があります。

《脳出血の慢性期治療(およそ2~3週間以降》

脳出血で壊された脳組織は、様々な治療を行ってももとに戻すことが出来ません。このため脳出血によって生じた障害は後遺症として残存する可能性があります。これらの後遺症に対しては、リハビリテーションによるある程度の回復を目指します。

〈ICD分類〉

被殻出血 ⇒ I61.0

視床出血 ⇒ I61.0

脳皮質下出血 ⇒ I61.0

延髄出血 ⇒ I61.3

橋出血 ⇒ I61.3

脳幹部出血 ⇒ I61.3

小脳出血 ⇒ I61.5

脳室内出血 ⇒ I61.5

高血圧性脳内出血 ⇒ I61.9 + I10

特発性脳内出血 ⇒ I61.9

脳出血NOS ⇒ I61.9

能動静脈奇形破裂による脳出血 ⇒ I61.9

〈ICD-9CM〉

開頭血種除去術 ⇒ 01.39

穿頭脳室ドレナージ術 ⇒ 01.39