糸球体疾患の基礎知識① 糸球体疾患の臨床症候分類

 
やまねこ
腎臓の中で糸球体(しきゅうたい)が尿を濾しだすところニャ。糸球体が悪くなる、それすなわち、腎臓が悪くなることだニャ
 

【糸球体とは?】

腎臓の基本的な役割は心臓から送られた血液をフィルターで濾しだすことによって、血液中の老廃物や余分な水分を尿という形にして体の外に捨てることです。

血液が濾しだされて尿が出来る部位を糸球体と言います。この糸球体から濾しだされた尿は尿細管という管を通ります。さらに尿細管が集まって出来る集合管、さらに集合管が合流して腎盂という腎臓の内側に流れ込み、尿管を通って膀胱に集められるのです。

【糸球体疾患の臨床症候分類】

ⅰ)急性糸球体腎炎・・・何らかの感染症状が出現した後に、腎臓の症状が現れます。大抵の場合はほとんど治癒します。

ⅱ)急速進行性糸球体腎炎・・・糸球体腎炎の中で、最も重篤な経過を辿る急速進行性糸球体腎炎は、腎臓の機能が数週間から数カ月で低下します。

ⅲ)反復性、持続性血尿・・・反復性または持続性の血尿。腎機能は低下しません。

ⅳ)慢性糸球体腎炎・・・蛋白尿や血尿が長期間(少なくとも1年以上)持続するものをいいます。腎臓病の中で最も多いものとして知られています。特に症状がないことが多いです。慢性糸球体腎炎は一つの病気ではなく様々な病気の総称です。

ⅴ)ネフローゼ症候群・・・糸球体腎炎の中で、特に蛋白尿が高度(厳密には、1日3.5g以上)の場合をネフローゼ症候群といいます。

〈ICD分類〉

急性腎炎症候群、急性糸球体腎炎 ⇒ N00.0-9

急速進行性腎炎症候群、急速進行性糸球体腎炎 ⇒ N01.0-9

反復性および持続性血尿 ⇒ N02.0-9

慢性腎炎症候群 ⇒ N03.0-9

ネフローゼ症候群 ⇒ N04.0-9

詳細不明の腎炎症候群 ⇒ N05.0-9

明示された形態学的病変を伴う単独蛋白尿 ⇒ N06.0-9

遺伝性腎症〈ネフロパシー〉、他に分類されないもの ⇒ N07.0-9