ⅰ)副甲状腺とは上皮小体とも呼ばれ、甲状腺の背面に存在し、左右の上下計四腺ある、体の中のカルシウムとリンを調整する臓器です。副甲状腺からは副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されます。
ⅱ)副甲状腺ホルモンは腎臓と骨に働きます。腎臓ではビタミンDをよく働く形のビタミンDに変えます。この活性化されたビタミンDは腸でカルシウムの吸収を促し、尿から排出されるカルシウムの量を減少させます。また副甲状腺ホルモンはカルシウムの貯蔵庫である骨に働いて骨を溶かしてカルシウムを血液の中に導き、このような働きで血液の中のカルシウムを上昇させます。
ⅲ)副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させるとともに、リン濃度を低下させる作用を有しています。このため副甲状腺機能低下症では、低カルシウム血症とともに高リン血症が認められます。ただし、低カルシウム血症、高リン血症は、慢性腎不全でも生じるので、低カルシウム血症、高リン血症を示し、腎機能が悪くない場合に、副甲状腺機能低下症と診断されます。
〈ICD分類〉
低カルシウム血症 ⇒ E83.5
高リン血症 ⇒ E83.3
ⅳ)原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体に問題あり(過形成、良性腫瘍、悪性腫瘍)、副甲状腺が膨張し副甲状腺ホルモンを賛成し過ぎる疾患です。
また二次性(続発性)甲状腺機能亢進症は、副甲状腺以外に原因があり、ビタミンD欠乏症や慢性腎不全などの原因により甲状腺ホルモンが大量に作られ、血中カルシウム濃度が必要以上に高まる疾患です。
〈ICD分類〉
原発性副甲状腺機能亢進症 ⇒ E21.0
続発性副甲状腺機能亢進症 ⇒ E21.1
その他の甲状腺機能亢進症 ⇒ E21.2
詳細不明の甲状腺機能亢進症 ⇒ E21.3
ⅴ)副甲状腺機能低下症は、甲状腺腫瘍などの頸部手術において、副甲状腺が切除されたことにより、血流障害などを引き起こし、副甲状腺ホルモンの分泌が低下する疾患です。
〈ICD分類〉
副甲状腺機能低下症 ⇒ E20.0-9
※副甲状腺機能亢進症・副甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの代謝異常で起こる甲状腺疾患と違い、副甲状腺そのものに異常がある疾患です。