【尿路とは?】
尿は腎臓で作られ、腎臓の中の腎盂に集められます。そして尿管を下って膀胱に溜まり尿道から外に排出されます。この尿の通り道を尿路と呼びます。
【尿路感染症とは?】
通常、膀胱や尿道には、感染症を引き起こす細菌はほとんど存在していません。しかし尿路のどの部分にも感染が起こる可能性があり、尿路で発生した感染症を尿路感染症(UTI)と呼びます。尿路感染症は、成人だけでなく、小児でも起こります。
【尿路感染症の分類①】
尿路感染症は、尿路内の感染部位に応じて、上部尿路感染症と下部尿路感染症に分類されます。
上部尿路感染症:腎盂腎炎です。
下部尿路感染症:膀胱炎です。また尿道炎や前立腺炎も含まれる場合があります。
【尿路感染症の分類②】
尿路に結石やがんがあるようなときに起こる尿路感染症を複雑性尿路感染症といいます。これに対して尿路に結石やがんなどの病気がないときに起こる尿路感染症を単純性尿路感染症といいます。
また急に発病して症状が強い急性尿路感染症と、徐々に発病して症状はそれほど強くない慢性尿路感染症にも分けられます。一般に単純性尿路感染症は急性尿路感染症、複雑性尿路感染症は慢性尿路感染症であることから、急性単純性尿路感染症と慢性複雑性尿路感染症に分けられます。
【原因】
尿路感染症の原因はほとんど細菌(80%が大腸菌)によるものです。ただウイルス(単純ヘルペスウイルスⅡ型など)や真菌(カンジダ)、寄生虫(トリコモナス症、住血吸虫症)が原因になることもあります。尿路感染症の85%以上は、腸または膣から移動してきた細菌によって引き起こされます。ただし細菌が尿路に侵入したとしても、排尿時に勢いよく流れ出る尿によって細菌も洗い流されるのが通常です。また尿道カテーテルを留置している場合、カテーテルをつたって病原菌が侵入し、尿路感染症を発症することがあります。
【治療】
原則的には抗菌薬の点滴を行います。症状が改善して口から食べられるようになれば、点滴から内服に変更することも可能です。また尿路結石や前立腺肥大など、尿の流れを悪くする障害物が原因である場合には、感染が改善したのち手術でこれらを治療することがあります。
〈ICD分類〉
急性尿路感染症 ⇒ N39.0
慢性尿路感染症 ⇒ N39.0
単純性尿路感染症 ⇒ N39.0
複雑性尿路感染症 ⇒ N39.0
尿路感染症NOS ⇒ N39.0