【肝臓の構造】
肝臓には「肝動脈」「門脈」「胆管」と呼ばれる管が三本あります。
「肝動脈」は心臓から送られる血液が肝臓に入るための血管です。肝臓はこの「肝動脈」を通じて、酸素と栄養を得ています。
「門脈」は小腸で吸収されたブドウ糖やアミノ酸を肝臓に運ぶ血管です。この血液が肝臓に入ることで、タンパク質や脂肪、グリコーゲンが生成されます。
「胆管」は肝臓が作る胆汁を流す管です。胆汁は胆のうで濃縮され、十二指腸に流れ、脂肪や一部のビタミンの消化吸収を助けます。
【肝臓がんとは?】
《原因の90%である肝炎ウイルス》
肝臓がんの原因の約90%が肝炎ウイルスによるものだとされています。現在、我が国に存在する肝炎ウイルスは、A型、B型、C型、E型の4種類ですが、このうち、慢性肝炎から肝硬変を経て、肝臓がんへと進行するのは、B型とC型です。
ちなみに90%の内訳のうち、約15%がB型肝炎ウイルスで、約75%がC型肝炎ウイルスです。
《肝炎ウイルス以外の原因》
原因が肝炎ウイルス以外の肝臓がんを非B型・非C型(ノンBノンC)肝がんと呼びます。非B型・非C型(ノンBノンC)肝がんの原因についてはハッキリとわかっていませんが、アルコール性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の人に肝臓がんが発症する傾向があると言われています。
【肝臓がんの分類】
肝臓がんは、原発性肝がんと転移性肝がんに大別できます。また原発性肝がんは、肝細胞がんと肝内胆管がん(胆管細胞がん)に分けられます。原発性肝臓がんの大部分を占めているのは、肝細胞がんですので、肝がんと呼ぶ場合は、一般的に肝細胞がんを示しています。
≪構造的分類≫
索状型肝細胞がん(trabecular type)
充実型肝細胞がん(compact type)
偽腺管型肝細胞がん(pseudoglandular type)
硬化型肝細胞がん(sclerosing type)
≪異型度・分化度から見た分類≫
高分化型肝細胞がん(well differentiated)
中分化型肝細胞がん(moderately differentiated)
低分化型肝細胞がん(poorly differentiated)
未分化型肝細胞がん(undifferentiated)
≪特殊な肝細胞がん≫
硬化型肝細胞がん(sclerosing HCC、sclerotic type of HCC)
フィブロラメラ型肝細胞がん(fibrolamellar HCC)
高度リンパ球浸潤型肝細胞がん(HCC with lymphoid cell infiltration)
肉腫様肝細胞がん(sarcomatous HCC)
【ステージ分類】
条件項目
ⅰ)直径2㎝以下である。
ⅱ)一個だけである。
ⅲ)血管侵襲(がんが血管の中に入り込んでいる状態)がない。
ステージ1:上記の3条件項目のうちすべての項目が合致し、かつリンパ節転移、遠隔転移(肝臓以外の身体部分に転移がある)を伴わない腫瘍。
ステージ2:上記の3条件項目のうち2項目が合致し、かつリンパ節転移、遠隔転移を伴わない腫瘍。
ステージ3:上記の3条件項目のうち1項目が合致し、かつリンパ節転移、遠隔転移を伴わない腫瘍。
ステージ4:上記の3条件項目のどれにも合致しないか、リンパ節転移もしくは遠隔転移を伴う腫瘍。
※遠隔転移があるものは、3項目の合致数にかかわらずすべてステージ4となります。
【肝芽腫】
肝芽腫は、子どもの肝臓に出来るがんで、大人の肝臓がん(肝細胞がん)とは違う病気です。肝細胞になるはずの未熟な細胞から発生したかんになります。小児の肝腫瘍の80%以上はこれにあたります。多くは3歳までに発症しますが、肝臓の外に広がることは少なく、70%程度の生存率が期待出来ます。
〈ICD分類〉
肝がん、肝細胞がん ⇒ C22.0
肝内胆管がん ⇒ C22.1
肝芽(細胞)腫 ⇒ C22.2
肝血管肉腫 ⇒ C22.3
その他の肝の肉腫 ⇒ C22.4
肝細胞がん・胆管細胞がんの混合型 ⇒ C22.7
肝がんNOS ⇒ C22.9